年上新人さんに教えられたこと

社会人になってはや2年、
こんな僕にも後輩ができて新人教育なるものをするようになった。
最初こそは意気込んで、よし色々と教えて育ててやろうと思っていたのだが。
中途採用で入ってきた新人Sさんは、年上でなんだったら僕よりよっぽど社会経験があると思われた。

出鼻を挫かれたがそれなりにしていこうと思い、こっちの知識のなさが露呈しないように隠していたのだが
途中から無駄な努力だと気づいてやめることにした。
知識のある人にものを教えるというのは大変なことで、なんとか場を取り繕いながら教えていたのだが、
見透かされているような気がしてきて、だんだんSさんに気を使われているように思えてきた。

考えてみれば当然なのだが、知識のある人が、それのない人を見透かすのなんて造作もないこと、
知っているふりなんてしたところでなんの役にも立たないと感じてきたのだ。

ということで途中からは、教えられることとわからないことははっきり言うようにした。
難易度の高いスキル系の話は私じゃなくてあっちの先輩が詳しいです、
社内のこの件は私が教えられます、と伝えていった。
僕に教えられるのは会社の流れやルール的なこととか、社内にあるものとかそれくらいのものだ。

そんなSさんなのに「まだわからないことだらけなので教えてくださいね」
などという。本音なのか謙遜なのかそう言ってくれるので、尋ねられたことは手取り足取り教える次第だ。

教わる側の姿勢の大切さをSさんに教えてもらったと思う。
自分の方がスキルが上だと思う時に、このように謙虚な態度を僕はとってきたのだろうかと。
振り返ればなんだか恥ずかしくなってきた。

なんとなく塾講師をしていた時のことを思いだす。
違うのは相手が年上で、塾講師の時とはずいぶんと勝手がちがうのだが
その人に合った教え方や接し方をするというのは一緒なのかもしれない。